無料でオープンソースな架空のレトロゲーム機「TIC-80」の紹介
PC上で仮想的にレトロゲーム機の開発&実行環境を実現する、Fantasy Console(架空のゲーム機)が活況を呈しています。
ブームの火付け役はPICO-8(商用ソフト、2014年発売)なのですが、PICO-8にインスパイアされる形で、現在では様々なFantasy Consoleが開発されています。
どんなFantasy Consoleがあるかは、こちらの記事をご覧いただくのがよいかと思いますが、その中でも名前をよく目にするのは、元祖PICO-8と、PICO-8のシンプルさを踏襲しつつ若干自由度を高めたTIC-80あたりでしょうか。
さてそのTIC-80ですが、元々はPICO-8と同じく商用ソフトだったのですが、なんと今年の9月にオープンソース化し、無料で使えるようになりました! MITライセンスです。
これはみんなで遊ばないともったいない!ということで、本日はTIC-80の紹介をしてみたいと思います。TIC-80の日本語の記事は探しても見当たらなかったので、もしかすると初の日本語解説記事かもしれません。
TIC-80について
TIC-80は小さなゲームを作って遊ぶための、架空のゲーム機です。いわゆるFantasy Consoleのジャンルのソフトになりますが、TIC-80自身はFantasy Computer(架空のコンピューター)と名乗っています。
TIC-80は(PICO-8と同じく)、コード、スプライト、マップ、サウンド等を編集するエディターと、コマンドを実行するコンソールを搭載しており、作成したゲームはWebやPC上で動作可能なカートリッジとして出力することができます。
動作環境
TIC-80は以下のプラットフォームで動作します。
Androidでも使えるのがいいですね。iOS版は現在移植作業中だそうです。
基本仕様
TIC-80の基本仕様です。
画面 240x136ピクセル、16色パレット 入力 2セットの6ボタンのゲームパッド / マウス スプライト 256の8x8キャラクター向けスプライトと256の8x8背景向けタイル マップ 240x136セル(1920x1088ピクセル) サウンド 波形編集可能な4チャンネルサウンド コード 64KBのLua、Moonscript、JavaScriptコード
コードをLua以外にも、MoonscriptやJavaScriptで書けるのがユニークですね。Web系の人はJavaScriptの方が始めやすいかもしれません。
入手方法
以下のページからTIC-80本体を無料でダウンロードできます。また、Android版はGoogle Playから入手可能です。ちなみにWindows版はWindows Storeからも入手できます。
同じページ上で、Web版を直接試すこともできます。
遊び方
公式サイトのPlayページで、ブラウザ上でいくつかのゲームを実際に遊んでみることができます。
開発方法
ゲームの開発方法やAPIについては、GitHubのWIkiに解説があります。
(上記Wiki、もしリクエストがあるようであれば、日本語訳の作成を検討します)
TIC-80には以下のツールが内蔵されています。
コードエディター
Lua、Moonscript、JavaScriptのいずれかでプログラムを書きます。
スプライトエディター
8x8のキャラクターや背景タイルの画像を作成します。
マップエディター
背景タイルを並べてマップを作成します。
SFX(効果音)エディター
SFX(効果音)の波形を編集します。
音楽エディター
SFXを音色として音楽を作成します。
使ってみた感想
まだそれほど長い時間は使えていませんが、今のところPICO-8と同じ感覚でゲームを作成することができています。
またPICO-8と異なり、Luaの標準ライブラリを使うことができるので、外部ファイルの読み込み等、色々応用が利きそうなのもいい感じです。
ただ、サウンド周りはブツブツとノイズが入ることがあり、このあたりは今後の改善に期待したいところです。とはいえオープンソースですので、こういった不具合への対応は今後急加速するのではないかと思っています。
すでにパフォーマンスアナライザの追加等、GitHub上で大がかりな独自の拡張をし始めている人も現れていますので、今後の進化に期待したいと思います。